手術の後は、障害が出ます。
直腸がん手術による主な障害は、排便障害です。
直腸を切り取るので、腸が短くなり、便を溜める能力が大幅に落ちます。
手術後、腸の負担を軽減する肛門ドレーンをしばらくしていましたが、取り外した後、最初の便がこれからの恐怖を物語っていました。
病院のベッドで朝食を食べている時、便意を催しました。

特に切迫感はなかったので、食べ終わってからトイレに行こうと思い、そのまま最後まで食べました。
そしてトイレに行こうと、ベッドの端に移動し、腰を上げた途端、水様便が肛門から紙パンツにドバっと流れ出ました。
手術後は便が垂れ流れることについて医師から聞いていましたが、問題は、その感覚がまったくないということでした。
なんかトイレに行きたいな、ぐらいで、まさか肛門を押さえていないと勝手に流れ出てしまうなんて、まったく想像していませんでした。
これから先が思いやられました。こんな調子では、外出できないし、紙パンツ代もバカにならないだろうな、と。
しかし、その心配は大きなものではなくなりました。翌日には水様便は収まり、その後、徐々に便が固まってきました。
固まると垂れ流れる状態はなくなりましたが、切迫感は出てくるようになりました。急いでトイレに向かうも間に合わず、紙パンツの中に出てしまいます。
その5日後に退院しましたが、帰宅しても、その状態は続きました。
しばらくすると、今度は1日に何回も便意を催すのですが、トイレに駆け込んでも、そのほとんどにおいて便が出ない状態になりました。
出てもほんのわずかで、兎糞便、1個ぐらいです。
そして4~5日から1週間ほど経つと、急に大量の便が排泄されます。
その時はトイレに1~2時間こもって、10~15分ごとに便が大量に出ます。

体力と気力を使い果たします。
便器に便の山ができます。
その大きな山を見ていて、こんなにもお腹の中に抱えていたのかと思うと、自分でも怖くなる量です。
退院後は、この状態がしばらく続きました。
ネットで検索しましたら、手術で腸を触ることにより、腸が過敏と麻痺を繰り返すようになるとのこと。これが今の排便に影響しているのかもしれません。

そして、排便障害は、手術後、半年から1年ほどで改善していくとありました。
それを読むと少し安心しますが、どのくらい改善されるのか調べると、1日の排便回数が5~6回に収まるとありました。
1日に5~6回か。癌になる前は、朝の1回だけだったのに。その程度の改善か。完全には元に戻らないのかな。
ただネットの情報は、サイトによって内容がまちまちなので、ひとつの改善例として、1日5~6回というだけで、個人差があるはずだと思いました。そう願おうとする自分がいました。

そう願い続けて、手術後、半年が経ちました。
実際に便意を催す回数が1日5~6回程度に減ってきました。便意があるのに、便が出ないということもほぼなくなり、大量便の排泄も2~3週間に1回程度までに減りました。比較的安定した感じにはなってきました。
この状態はもしかしたら一時的な可能性もありますが、排便障害が軽くなってくると、頭によぎるのが、他の障害です。
手術前に主治医から聞かされたのは、直腸の周りにはたくさんの神経が通っているので、癌の進行度によって直腸と一緒に切除する必要がある場合、排尿障害、勃起障害、射精障害が起こります、ということでした。
しかも、事前のMRIやCT検査では、どこをどこまで切除するのかは、手術でお腹の中を見るまでは正確には分からないとのこと。
しかし、私の場合、進行がんでしたが、幸いにも転移もなく全神経温存でしたので、排尿障害も勃起障害もありませんでした。
しかし、問題は射精障害です。
これは通常の生活を送っているだけでは、障害があるかどうかは確認できません。
全神経温存なので、その障害はないはずなのですが、ネットで調べると、全神経温存でも20~30%の確率で、その障害が起こる可能性があるとありました。

ぶっちゃけ、もう機能しなくても、それはそれでいいんじゃないの、これから子作りするわけでもないのだから、と考える人もいると思いますが、私は必要なくても、機能していたものが機能しなくなるのが嫌なタイプでして、全神経温存なのだから、できることなら機能していてほしいと考えます。
なので、排便障害が少し落ち着き始めると、その不安が鎌首をもたげ始めていました。
射精障害とは、どんな障害なのか?
調べると、逆行性射精、射精不能・無射精、遅漏、早漏などがあるそうですが、私は全神経温存ということで、さすがに射精不能・無射精というのはないだろうとは思うのですが、これも確かめるまでは何とも言えません。
そこで確かめたいのですが、確かめるって、自分で確かめるしかないのか…。
不安で自分で確かめる気になりませんし、不安な中でフィニッシュできるのかという問題もあります。

そこでAIに聞いてみると、「主治医に聞けば分かります」と言われました。
そうか、手術をした主治医なら分かるはずだ。
次の検査で主治医に聞いてみたところ、
「全神経温存なので、大丈夫だとは思うのですが、100%となると、自分で確かめてみるしかないですね。」
と言われました。
残念ながら、主治医に聞いても、100%の安心はできませんでした。
しかし、主治医に大丈夫だとは思う、と言われただけでも、少し安心が得られましたので、思い切って自分で確かめることにしました。
排便障害は直腸癌だと知る前からずっと続いていましたので、射精障害を確認できる行為は、長い間する気にはなれませんでした。よって、かなりのご無沙汰でした。
さて、いざ確認となりましたが、やはり、もし障害があったら、と思う不安が性的興奮を抑制するので、なかなかフィニッシュできません。
何度も気持ちが冷めていく中、必死にバカになるように努めました。
そうこうしているうちに、なんとかゴールまでたどり着けました。
しかし、ゴールした瞬間、不安が的中したのかと思いました。
出てくる感覚がないのです。
これは逆行性か...?
そう思いました。
ネットでは逆行性射精というのは、射精の快感はあるものの、精液が体外に出ず、膀胱の中に逆流してしまう現象と書かれていました。
そんなことになってしまったか、と、ガックシ肩を落とし、あきらめた気持ちで、恐る恐る目をやると、出てはいました。
ただ非常に少量でした。
なぜこんなにも少量?だから出ている感覚がなかったのか。
さらに頭をよぎったのが、いくらかは逆流したのでは?ということでした。
AIに聞くと、部分逆行性射精といい、部分的に逆流する場合もあるとのこと。
それを確認する方法は、透明のプラスチックのコップに尿を取り、精液が混じっていないかどうかを確認する、ということでした。
もう勘弁してほしい。勇気を出して確認したのだから、一回の確認で終わりにしてほしかった。
しかし、中途半端な状態のまま放置するのも嫌なので、コップを用意しましたよ。
早速、尿を取ってみました。

コップを日にかざして確認すると、特に変わりはない感じでした。
部分逆流でもなさそうだな。
では、あの量はなんだったのか?
1年以上のブランクがあったことが理由ではないかと思い、AIにそれを伝えてみると、
「1年以上のブランク+手術後の強い不安と緊張という条件が重なると、手術の影響(逆流)が全くなかったとしても、驚くほど量が少なくなる条件としては十分すぎるほど揃っています。」
ということでした。
まぁ、AIの言うことですから、その可能性がある、という程度に考えていたほうがいいですかね。
AIはさらに続けます。
「再度確認して量が増えていれば、ブランクのため、一時的に生産工場が眠っていたと言えるでしょう。再確認は1週間後をお勧めします。」
いや、もういいです。
多分、大きな問題はなかったと思います。
今は精神的にしんどいので、自分の中で、この結果でOKとしました。
残るは排便障害ですが、日増しにマシになっていくでしょう。
そう思って、日々生きています。

がん検診は受けてください。
発見が遅れれば遅れるほど、失うものが大きくなりますので。
皆さんのこれからの人生が、笑顔にあふれ、輝かしい日々となりますように。
Noe
闘病記の記事
直腸がんの診断から手術、回復までの過程をまとめた体験記はこちらからご覧いただけます。

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