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「自分から話したほうが早い」と言われた日

アメリカに来て、最初につまずいたのは授業でも、ニュースでもありませんでした。スーパーのレジでした。
英語を勉強していたつもりでも、レジで何か聞かれた瞬間、頭が真っ白になる。聞き取れない。もう一度言われても、やっぱり聞き取れない。
そんな状況が続いていました。
ある日、知り合いに言われました。
「聞こうとするより、自分から話したほうが早いよ。」
その言葉は、ものすごく頭に入ってきました。
なんかイメージできたのです。そのほうが早いという。
聞こうとしたところで、分からないのだから、何か発言したほうがいい。そのほうが流れが変わるというようなイメージです。
レジでの出来事

スーパーというところは、結構とっさに何か言われる場所です。
ある日、レジで会計を待っていると、店員が私に何か聞いてきました。
単語の切れ目が分からない。何を言われたのか、まったく見当がつかない。
黙って聞き直しても、同じように分からないままだろう。
そこで知り合いに言われたことを思い出して、思い切って自分から、相手の言ったことを推測して聞き返しました。
店員:[聞き取れない一言]
私: “Sorry? Is this the right line for here?”
店員: “Oh, no, I just asked if you found everything alright today.”
私: “Oh! Yes, I did, thanks.”
店員: “Great, that'll be $8.75.”
(※上記の会話は、実際のやり取りの流れを元に再現したものです。)
推測は外れた。だが、店員の言い直しの中に、最初から聞きたかった内容がそのまま含まれていました。
なぜ推測が効くのか

聞き取れない一言に対して、黙って聞き直しても、相手はまた同じ言葉を、同じ速さ、同じ発音で繰り返すことが多く、結果は変わりません。
一方、こちらから何かしらの推測を口にすると、相手は「違う」と否定する形で返してくる。その否定文の中に、正しい内容がそのまま埋め込まれている。推測が外れても、無駄にはならない。むしろ外れた推測ほど、相手からより明確な言い直しを引き出せるのです。
これは、レジでの一度きりの出来事ではありませんでした。アメリカ生活の中で、似たような場面が何度もあり、その都度この方法に助けられてきました。
分からないまま待つのではなく、外れてもいいから言葉を出す。そこから会話が動き出すのです。
聞き取れないのは、難しい言葉より「軽い言葉」だった

英語のリスニングというと、専門用語や早口のニュースを思い浮かべる人が多いと思います。しかし、実際につまずくのは、そういう「身構える言葉」ではない場合が多いです。
値段や時間、場所といった重要な情報は、身構えて聞きますし、文脈からも予測がつきやすいです。だから意外と言っていることを把握しやすい。
一方で、レジでの「Did you find everything alright?」のような一言は違います。これは店員にとって、ただの決まり文句です。毎日何百回も繰り返す言葉だから、発音は自然と雑になります。
こういう日常的で短い、特に気に留めなくてもいいような言葉が、実は一番聞き取れませんでした。しかも厄介なのは、聞き取れないと「何を調べればいいのか」すら分からないことです。分からない単語なら辞書で調べられますが、そもそも音として拾えていないので、調べようがない。だから記憶にも残らず、そのまま流れていってしまうことが何度もありました。
聞く側も同じです。「大した内容ではないだろう」と無意識に判断して、集中を切ってしまう。結果、話す側の油断と、聞く側の油断が重なって、一番聞き取れない瞬間が生まれてしまいます。
重要な話は、意外と聞き取れますが、聞き流していいような言葉が、聞き取れない場合が多いです。
この方法が効く条件

この方法が効くかどうかは、相手が返答してくれるかどうかにかかっています。推測が外れても、相手が言い直してくれるからこそ、そこから正しい情報にたどり着けるのです。
学校やお店では、自分が客や利用者の立場にあることが多く、相手も何らかの形で返答してくれます。だからこそ、推測が外れても、そこから言い直しを引き出せます。
一方、道端で見知らぬ人にふと話しかけられたときなどは、話が別です。聞き取れずに聞き返しても、相手がそのまま立ち去ってしまうこともあります。ただ、こういう場合は相手側に何か用があって声をかけてきたことが多く、聞き取れずに終わっても、こちらが困る場面はあまりありませんでした。
その場をしのぐ方法と、根本的な解決は別

推測して切り抜ける方法は、その場をしのぐには有効です。だが、次に同じフレーズに出会っても、また聞き取れないままだと思います。これは対処法であって、根本的な解決ではないからです。
これは、ユニダバの記事でもお話ししたことと同じです。聞き取れないのは、その表現自体を知らないからです。一度知ってしまえば、その後は不思議と、至る所でその言葉が耳に飛び込んでくるようになります。今回の「Did you find everything alright?」も、一度知ってしまった今なら、もう聞き取れます。つまり、その場をしのぐ推測力とは別に、表現そのものを一つひとつ知っていく積み重ねが必要だということです。
とはいえ、知らない表現を独学だけで一つずつ潰していくのは、時間がかかります。効率よく鍛える方法がないか、今回調べてみました。
例えば「スパトレ」は、まず何が原因で聞き取れないのかを診断した上で、シャドーイングやディクテーションといった具体的なトレーニングメニューを提案してくれるサービスです。感覚ではなく、原因から逆算して鍛えたい人には合っていると思います。
もう一つ、「mimitore」は、音声知覚から意味理解までを段階的にトレーニングする、リスニングと発音に特化したコーチングです。会話の中で瞬時に音を拾えるようになりたい人には、良さそうだと感じました。
どちらも、その場をしのぐ方法ではなく、根本から鍛えるためのアプローチです。
気になった方は、下記からサービスの詳細を確認してみてください。
※このページで紹介しているサービスは、公式情報をもとにしています。私自身が使ったサービスではないので、体験談ではなく判断材料の一つとしてお読みください。
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実は、推測すら必要ない場面もあります。気になる方はこちらもどうぞ。

そもそもなぜ英語が聞き取れないのか。リエゾンによる音の変化について書いた記事もあります。あわせてご覧ください。

この記事の出来事も、私が実際に経験したことの一つです。他にどんな経験をして



