「文法は間違っていないはずなのに、この英文は本当に自然なのだろうか」英語を書いていると、そんな疑問を持つことがあります。私自身、アメリカに10年住んでいましたが、自分の英文が「自然なのか」ということについては、なかなか自信を持てませんでした。そんな私が、自分の英文を客観的に見てもらう必要があると感じた出来事があります。

「まあ、外大生よりかは、ましな文章だね」
アメリカの大学には、学生の学習をサポートするTutorという仕組みがあります。私が英文を見てもらっていたTutorは、日本の外国語大学を卒業した後、アメリカに留学していた人でした。日本語と英語、両方の感覚を持っている人だったので、自分の英文を見てもらう相手としてはちょうどいいと思っていました。
あるとき、私は自分が書いた英文をそのTutorに見てもらいました。アメリカで何年も生活し、英語を使う機会も増えていました。自分では、かなり書けるようになったつもりでした。
ところが、返ってきた言葉は、「まあ、日本の外大生よりかは、ましな文章だね」というものでした。悪意のある言い方だったわけではありません。それでも、私は少し肩透かしを食らったような気持ちになりました。「何年もアメリカにいるのだから、もっと自然な英文を書けていると思っていた」そんな自分の認識とのギャップがあったからです。

文法が合っていても、「自然」とは限らない
この出来事で考えるようになったのが、「通じる英語」と「自然な英語」は同じではないということでした。
日常会話では、多少不自然な表現を使っても、相手が文脈からこちらの意図を理解してくれることがあります。こちらの言いたいことが伝われば会話は成立します。だから、自分では「この英語で問題なく通じている」と感じていました。
ところが、文章になると話は少し違います。文法的には間違っていない。意味も伝わる。それでも、ネイティブが読むと「何となく不自然」という文章はあります。この違いは、自分一人では気づきにくいものです。

なぜ、自分の英文の不自然さに気づけないのか
一番難しいのは、文法の間違いとは違って、「正解が一つではない」ことです。文法なら、文法書や辞書を調べれば確認できます。しかし、「文法的には間違っていないけれど、ネイティブなら別の言い方をする」という部分になると、自分の中に判断基準がなければ気づきにくくなります。私自身もそうでした。
フィードバックを受ける機会が少ない
会話なら、相手の表情や反応から「今の言い方は変だったかな」と気づくことがあります。でも、文章の場合、わざわざ「この表現は不自然」と指摘してくれる人は、そう多くありません。そのため、自分では問題ないと思っている表現を、そのまま使い続けてしまうことがあります。

同じような英語を使う人との会話に慣れてしまう
留学先では、他の留学生と話すことも多くなります。ネイティブであっても、こちらが外国人だと分かれば、分かりやすい英語で話してくれることがあります。そうした環境では、意思疎通ができているため、自分の英語がどの程度自然なのかを判断しにくくなります。
日本語から英語に置き換える癖が残る
文章を書くとき、「まず日本語で考える」→「それを英語にする」という順番になっていると、日本語の表現の影響が英語に残ることがあります。文法的に間違っていなくても、英語として少し硬かったり、回りくどかったりすることがあります。

では、「自分の英文は自然か」をどう判断するのか
ここが、私自身が一番難しいと感じたところです。自分で書いた英文を自分で読んでも、「自分ならこの表現を使う」としか判断できません。つまり、自分の中にある英語の基準だけでは、自分の英語の自然さを客観的に測るのが難しいのです。
だからこそ、誰かに見てもらうことには意味があります。Tutorでも、英語を使う人でも、自分とは違う視点から文章を見てもらう。そこで初めて、「文法的には合っているけれど、こういう言い方はあまりしない」という部分が見えてくることがあります。私にとっては、あの「外大生よりまし」という一言が、そのことを考えるきっかけになりました。

「伝わる」だけでは足りない場面もある
もちろん、日常会話なら「伝わる」ことはとても大切です。多少不自然でも、相手に意味が伝わればコミュニケーションは成立します。ただ、メールやレポート、仕事で使う文章など、書いた英語そのものを評価される場面では、それだけでは足りないことがあります。
私自身、留学時代のある出来事から、「通じる英語」と「書く仕事で使える英語」の違いを考えるようになりました。そのときの具体的な体験については、こちらの記事に書いています。
▶自分の英文、ネイティブに本当に伝わっていますか?留学時代に言われた忘れられない一言
英語を長く勉強しているのに、自分の英文に自信が持てない。そんなときは、単純に英語力が足りないと考えるのではなく、自分では判断しにくい「自然さ」の部分を、誰かに見てもらうという方法もあります。
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