No Turn on Red
アメリカ留学時のある日、私は学校のあるマンハッタンからの帰宅を急いでいました。
スピードを出してマンハッタンを走っていました。

その時、前方の信号が赤に変わろうとしていました。
急いでいた私は、さらにスピードを上げ、信号が赤に変わった直後に右折してしまいました。
日本とは逆の右側通行なので、右折すること自体に違和感はありませんでした。
そのまま曲がって、スピードを上げようとしたとき、後ろからパトカーが、私の車の前に猛スピードで割り込んできました。
中からカンカンに怒り狂った黒人の警察官が降りてきて、
「ここはニューヨークだ!いかなる場合でも、赤信号の時に右折はできない!よく覚えとけ!」
と怒鳴って、そのまま車に戻り、走り去っていきました。

アメリカでは、赤信号で右折してはいけない場所に、「No Turn on Red」という標識があります。
通常、赤信号では右折できませんが、ニュージャージー州では、「No Turn on Red」の標識がない交差点なら、赤信号でも安全を確認して右折することができます。
一方、ニューヨーク市では、赤信号での右折が禁止されています。そのため、「No Turn on Red」の標識がなくても、赤信号では右折できません。

しかし、ニューヨーク市内の赤信号での右折は禁止という法律を知らないと、その標識がないということで、右折してしまうわけです。
しかし、私はその法律を知っていて、急いでいたという理由だけで、赤信号で右折をしてしまいました。
にもかかわらず、なぜその警察官は、私に違反チケットを切ることなく、注意だけで終わらせたのか。
推測ですが、私の車がニュージャージー州のナンバーだったこと、そして私がアジア人だったことで、外国人で、まだアメリカの交通ルールに慣れていない若者だと思われたのかもしれません。
本当の理由は分かりませんが、とりあえず、それで見逃してくれました。
しかし、私はすべてを知った上でやったことなので、本来は違反チケットを切られないといけません。
なんか日本人でいたから、見逃してもらえたように思える出来事でした。
合掌

ある日、車を走らせていました。
ある道路に入って、少しのカーブになったところで、急に前方から車が走ってきました。
驚いて、お互いにハンドルを切ったのですが、たまたま反対方向にハンドルを切ったので、正面衝突を避けることはできました。
車から降りてきた白人の中年男性は、カンカンに怒り狂っており、
「この道路は、一方通行だぞ!どこを見ている!」
と、怒鳴られました。

ニュージャージーは緑の多い州なので、「Do Not Enter」の標識が木の枝や葉に隠れて、見えにくくなっていたのかもしれません。
これはもう、平謝りするしかない状況です。
やってしまったという気持ちで一杯になった私は思わず、両手を顔の前に合わせて、申し訳ないという動作をしました。
それを見た相手は、急に表情を変え、車に戻り、走り去っていきました。
あまりに急な態度の変わりようなので、私の推測では、「この合掌が理由だな」と思いました。

アメリカのレストランで、ちょうどウエイトレスが料理を持ってきたところで、手を合わせると、そのウエイトレスの動きが一瞬止まったことがあります。
異文化を前に、戸惑ったようでした。
そういったこともあり、私はその合掌が理由で、相手の怒りが収まり、話を早く終わらせることができたのでは、と思えた出来事でした。
まぁ、道路標識をよく見て運転していればいいだけの話ですが...。
交差点
アメリカ留学時のある日の夜、英会話スクールから車で帰っていました。
いつもの道を走っていると、急に道路が渋滞になりました。

前のほうを見ても、車が連なっているだけで、先のほうで何が起きているのかが分かりませんでした。
ゆっくり徐行しながら走っていると、徐々に交差点が見えてきました。
信号機が光っていません。
「信号機の故障か。」
そうつぶやき、交差点に目をやると、車が何か一定のルールに従って動いているのです。
ずっと見ていましたが、どういう決まりで動いているのか、まったく分かりません。
当時、私は在米6年ぐらいでしたが、6年も住んでいて、日常生活の中にまだ知らないことがあったのかと、かなり焦りました。
どんどん交差点が近づいてきます。
近づくたびに、
「はたして、自分もちゃんと流れに乗って走れるのか?!」
と思い、ドキドキしました。

しばらくして、ついに交差点に到達しました。
すると、交差点の真ん中に何やら動くものがあります。
「何かな?」と思い、そちらに目をやると、人が立っていました。
その人は、両手を上下左右に振って交通整理をしていました。
そう、警察官だったのです。
なぜ、今まで気づかなかったのか?
警察の制服は紺色です。白い手袋でもしていれば、目に入ったと思うのですが、その時はしていませんでした。
そして、その警察官は、アフリカ系アメリカ人でした。
完全に夜の暗闇に溶け込んでいました。

目の前に来るまで、まったく気付きませんでした。
理由が分かったので、急に安堵感に包まれました。
これで安心して、交差点を渡れる。
警察官の手が私のほうを向き、指示が出されました。
その指示に従って、車を走らせました。
「あぁ、良かった。」
無事に交差点をやり過ごすことができました。
以前、車の事故を起こしたとき、とても嫌な気分になったので、何事もなく、通り過ぎることができて、本当に良かったと思いました。
海外で暮らしていると、日本では当たり前だと思っていたことが、当たり前ではない場面に何度も出会いました。
そして、そんな出来事を経験するたびに、自分が日本人であることを意識させられました。
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