アメリカで車の免許を取ったばかりの出来事です。
母と仮住まいのアパートを出て、次の賃貸住宅を見つけるべく、不動産屋のリストをもとに、私の運転する車で各物件を回っていた時でした。

交差点に進入し、対向車を待つポジションに入ろうとした時、母から急に「ここは右!」と言われ、とっさに右にハンドルを切りました。
次の瞬間、後ろから交差点に進入してきた車と衝突。
私の車の右側へ突っ込み、助手席にいる母の体が私のほうへ飛んできて、私の体と車内で強くぶつかりました。

私は何が起こったのか分からず、母の顔を見ると、母も何が起こったのか分からない顔から激痛にゆがむ顔を変わりました。
この時の母の表情は恐ろしく、生涯忘れることはないでしょう。
完全にパニックになっていた私は、ただおろおろするだけでした。
周囲の誰かが救急車を呼んでくれたようで、突然、後ろから救急隊員から肩をつかまれ、「車から降りてください!」と言われ、そのまま母は担架に乗せられ私も同乗し救急車で近くの病院まで運ばれました。
検査の結果、母の肋骨が9本も折れていたことが分かりました。
病院のベッドで横たわっている母の姿を見ていると、自分のしたことの重大さによる情けなさがこみ上げ、涙が止まらなくなりました。

アメリカで免許を取ったばかりで、運転歴が浅く、二十歳になったばかりで人生経験も浅い私のとった行動は信じられないものでした。
確認もせずに急に方向転換なんて、事故になって当然の状況でした。
私の過失は10だと思っていましたが、実際の過失割合は7対3でした。相手の3の過失は何でしょうか。相手の立場を考えるとかわいそうです。
その後、母はニュージャージーからニューヨークの病院へ移りました。
ニューヨークには、胸部にかけて世界的権威の日本人医師がいるということでした。
母の胸部には内出血による血が溜まっており、母の話では、通常はドレーンチューブを差し込んで血を抜くところ、その医師は注射器で吸い取る方法を選択したそうです。
身体への負担がチューブを入れるより軽いらしく、体の回復が早いとのことでした。
数年後に帰国してから日本の病院でも診てもらいましたが、そんな方法はありえない、と驚かれたそうです。
凄腕の医師に出会ったことにより、大事に至らなくてよかったです。
おかげさまで、母は今も元気でいます。
今、当時を振り返ると、この事故が起きた理由は、運転歴が浅いだけでなく、危険な運転だと自分でもある程度は分かっていたので、私の若さゆえの傲慢さも根底にある出来事でした。 自分を強く戒めることになりました。

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